新しい年が近づき、来期から「周年事業」や「年史制作」を本格始動させる法人・組織の方も多いのではないでしょうか。
先日、ある法人様から年史制作のご相談をいただきました。スケジュールや予算といった実務面だけでなく、担当者様が悩まれていたのが「年史には、世の中に公にできることだけを書けば良いのか?」という点でした。
どの組織にも、対外的には伏せておきたい「失敗」や「苦い経験」があるものです。それらを記録に残すかどうかは、最終的には各組織の判断に委ねられます。しかし、過去に当社が担当したある法人様の事例は、一つの大きな指針になるかもしれません。
その法人様では、過去に「不祥事」と呼ばれる出来事がありました。その出来事を年史に掲載するかどうか。
編纂委員会だけでなく、経営陣も交えて、時間をかけて議論が重ねられました。
その結果、出した答えは、
「事実をありのままに掲載する」
不祥事とは、本来なら企業にとって伏せておきたい、風化させたいことだと思います。しかしその法人様は、「二度と同じ過ちを繰り返さないためには、当時を知らないスタッフにも事実を正しく伝えていくことが不可欠」と判断されたのです。
この決断により、完成した年史は単なる「周年記念品」ではなく、組織が成長し続けるための「生きた教科書(財産)」になったと思います。
来年から年史制作を検討されている法人・組織の方には、ぜひ「何を書くか」だけでなく、「なぜ残すのか」「誰のための記録なのか」を考えていただきたいと思います。
年史は完成した瞬間よりも、その後にどう読まれ、どう活かされるかで真価が決まります。
私たちは、そうした対話を重ねながら、組織にとって本当に意味のある年史づくりをお手伝いしています。

