辞書づくりと年史制作――言葉を編む仕事の舞台裏

辞書と年史、意外な共通点

 

NHKドラマ『舟を編む〜私、辞書つくります〜』をご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。

私は2024年に「プレミアムドラマ」で放送されたときも、現在の「ドラマ10」でも見ています。原作の三浦しをんさんの小説『舟を編む』も読みました。

 

物語の中で描かれる辞書編集者の姿は、膨大な言葉の海を航海するようです。資料を集め、原稿を書き、校正を重ねる。その姿を見ながら、私は思わず自分の仕事――年史(社史)制作を重ねてしまいました。

 

資料から物語を紡ぐ

 

年史制作の第一歩は、資料集めです。

社内に眠る創業当時の記録や社報、新聞記事、写真、図面など、多様な資料を掘り起こします。そこから必要な情報を抽出し、文章にまとめるのはパズルを組み立てるような作業です。

 

予定のページ数に合わせて原稿をリライトし、写真や図版の数や大きさを調整します。削るべきか残すべきかの判断は、毎回悩みどころです。

 

校正しても、校正しても

 

原稿は複数人で何度も校正します。

それでも「誤字があった」「別コーナーと年代が違ってる⁉︎」という発見があるのは不思議なものです。辞書編集部も似たような経験をしているのではないでしょうか。

 

刊行予定日が近づくと、スケジュールは加速度的にタイトになり、時には深夜作業になることもあります。

そんなことのないようにスケジュールを組んでいるのですが、どこの年史制作でもこの傾向があります。

「せっかく作るのだから」「良いものになってきたからより良いものに」という気持ちが働くのか、完成形がイメージできるようになると皆さん俄然、力を入れ始めます。内容の深掘りをしたりチェックが細かくなったり…結果として深夜作業で対応することになるのです。

 

 

形になる喜び

 

原稿チェックと同時に、紙面レイアウトや表紙デザインも進めます。
読みやすさとデザイン性の両立は、グラフィックデザイナーとしての腕の見せどころです。

レイアウトしたものは完成形に近いもの。この状態で見ているとまた修正すべき箇所が見つかる…というのも毎度のことです。この段階での修正が最終的なものになるので、できるだけ他ページへの影響が出ないように修正するのも辞書づくりと似ています。

 

 

そして印刷所に入稿。もう後戻りはできません。仕上がりを祈るような気持ちで納品日を待ちます。

 

胃が痛くてもやめられない

 

この仕事は責任も大きく、時には胃が痛くなることもあります。

しかし、完成した一冊をお客様にお渡しするときの喜びは格別です。企業の歴史が言葉とデザインで形となり、次世代へと受け継がれていく。その意義を実感する瞬間です。

 

辞書編集者たちも、同じ達成感を味わっているのではないでしょうか。

 

有限会社グラフィックメイトでは、創業以来、数多くの年史・社史制作に携わってきました

資料整理から原稿制作、校正、デザイン、印刷まで一貫してサポートいたします。

社史や周年史をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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100mmほどの厚さの100周年記念誌や上製本が10冊ほど奥側に立ててある。手前には並製本を中心に、さまざまなタイプの年史を扇状に展示している
グラフィックメイトが50年以上にわたって制作してきた社史、年史、周年記念誌